蒸し暑いときや緊張しているときなどは、誰でも手のひらや足の裏に汗をかくことがありますが、このような状況に限らず常に手足が汗ばんでいる状態は、手足の多汗症と言えます。
多汗症の発汗量は人それぞれで、常に汗は出ていても、症状は軽くて汗ばむ程度という方もいますが、重症になると、ノートやプリントなどが濡れて破れたり、手を動かしたときに汗が飛び散るなど生活に支障が出てしまいます。
生まれつきの体質と思っている方も多いかもしれませんが、実は精神的な影響を受ける自律神経が関係しているのです。
精神的要因
人間というのは、不安や緊張などの精神的ストレスを感じると交感神経が刺激されます。交感神経が刺激されると発汗につながってくるんですが、この交感神経が敏感になってしまうと多汗症になると言われています。
ただし、交感神経が敏感になる理由については謎というのが現状です。
肥満
肥満になり内蔵脂肪や皮下脂肪が増えてくると、体内の熱をうまく外部へ発散することができなくなってしまいます。すると、それを補おうと大量の汗を出すことで体を冷やそうと体が反応してしまうのです。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンの生成は脳から指令が出されているのですが、このホルモンの生成を命令している部分と、交感神経を司っている部分というのは実は脳の同じ場所です。
なので、必然的にホルモンバランスが乱れると自律神経も乱れることになり、結果それが多汗症につながってきてしまったりします。
女性の場合は更年期障害・妊娠・月経などでもホルモンバランスを不安定にさせることがあります。
病気などの疾患
甲状腺機能亢進症(バセドー病)、褐色細胞腫、糖尿病、急性リウマチ、生殖器障害、プランマー病。甲状腺刺激ホルモン産出腫瘍などの病気によって起こる可能性もあります。
これは一部なのですが、こういったものが原因で多汗症になるケースだってあるんです。ただし、手掌多汗症のように局所的なものはあまりなく、全身多汗症になるケースが大部分です。ですから、安心と言えば安心だと言えるでしょう。
ただ可能性が低いとは言っても、もしかしたらその背後にはこういった病気が潜んでいるかもしれません。そのことだけはしっかりと頭に入れておく必要があるでしょう。
生活習慣の乱れ
例えば食事です。熱いものや辛いものを食べ過ぎたりすると「味覚性多汗症」になりますし、コーヒーなどの飲み過ぎ、タバコの吸い過ぎはニコチンやカフェインなどの影響で発汗につながってきます。
多汗症の場合、発汗の原因は精神的興奮や感情的刺激によって自律神経が乱れることが原因なのです。自律神経の働きの乱れは、不規則な生活やストレスによって起こります。
まずは自分の生活スタイルを見直して不規則な生活やストレスがかかりすぎていなかったかを振り返ってみましょう。
それでも改善されない場合は一度病院へ相談してみましょう。
多汗症と汗っかきの違いは?
汗っかきとは、気温が高いときや運動をしたときに、体温を下げるために人よりも汗がたくさん出る体質のこと。それに対して多汗症は、交感神経が敏感に働き過ぎて、体温調節をする必要がないときでも異常に汗をかいてしまう病気です。
このような違いがあるのですが、なかなか区別がしづらいですよね。そこで、多汗症の中でもっとも多い「局所性多汗症」のセルフチェック方法をご紹介します。
局所性多汗症かどうかの判断基準は2つあります。
1つは、原因不明の過剰な汗が出る状態が半年以上続いていること。全身から大量の汗が出るのには「糖尿病」や「甲状腺亢進症」「結核」「自律神経失調症」「更年期障害」などの病気が原因となっていることもありますが、このような場合は局所性多汗症とは言いません。
もう1つの判断基準として、次の項目をチェックしてください。
(1) 日常生活に支障をきたすくらい大量の汗が出る。
(2) 両手のひら、両足の裏、両ワキの下というように、左右対称に多汗の症状がある。
(3) 多汗の症状が週に1回以上ある。
(4) 寝ているときには気になるほどの汗をかかない。
(5) 人より多く汗を多くかくことに、25歳以下の段階で気づいた。
(6) 家族や親戚に多汗症の人がいる。
2項目以上当てはまる場合は、局所性多汗症の可能性が高いと考えられます。